【芭蕉の句碑】国道308号線(奈良街道)沿いに建つ松尾芭蕉の句碑
【芭蕉の句碑】国道308号線(奈良街道)沿いに建つ松尾芭蕉の句碑
「菊の香にくらがり登る節句かな」
江戸時代の俳人であり、紀行本『奥の細道』の著者として有名な松尾芭蕉は、(1644~1694)は伊賀国で生まれ、生涯を旅に過ごしました。
元禄7年(1694年)、病をおして伊賀を発った芭蕉は、旧暦9月9日の重陽の節句(菊の節句)に奈良から大坂に向かって暗峠を越えました。 その時詠まれたのが「菊の香に くらがり登る 節句かな」の句です。この暗峠越えが芭蕉最後の旅となり、大坂に入って間もなく、10月12日に亡くなりました。
その後、芭蕉の百年遠忌を契機に、蕉風復古の気運が高まり、寛政11年(1799年)地元豊浦村の中村耒耜(らいし)によって、暗峠の街道筋に「菊の香に ……」の句碑が建てられましたが、山津波により倒され、いつしか行方がわからなくなっていました。
このままでは芭蕉の旧跡が忘れ去られるとの想いから、明治23年、俳句同人六郷社の有志によって、自然石の表面に大坂の豪商平瀬露香の筆により再建したのが、この句碑です。
いっぽう、行方不明になっていた元の句碑はその後村人らによって発見され、3つに折れていた細長い石材を接合して大正2年(1913年)に西方の日蓮宗勧成院境内に移設されました。これが現在市の文化財として指定されている松尾芭蕉句碑です。
このような経緯により、暗峠奈良街道(国道308号線)の近接する場所に芭蕉の同じ句を刻んだ石碑が残されることになりました。




